1 Feb 2013

「ふしぎなキリスト教」

手塚治虫のブッダを読み返して、今更ながら他の宗教のこともきちんと勉強しなおそう・・と思い手に取った本書。対話形式で進められるので、非常に内容も分かりやすく、また初心者が疑問に思うことをまさに解説してくれています。

分かっているようで分かっていなかったポイントが沢山あったので、備忘録まで。

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①ユダヤ教とキリスト教はどう違う??
ほとんど同じ。
違うのは神に対する人々の態度。
ユダヤ教:神(ヤハウェ)の声を「預言者」を通じて知り、それに従う。
キリスト教:神の子(キリスト)の教えに従う。キリストはもちろん預言者より上位の存在。

②神はいくついる?
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は全て一神教。それは神が「人間を創造する」、全く別の存在であると考えているから。世界の中心は神。
それに対し、日本では神様は「人間と同じようなもの」なので、沢山いた方がいい(多神教)との考え。そのため、人間中心の考え方になる。

一神教ではすべての事象の背景に神がいて、神との不断のコミュニケーション(=祈り)により赦しが与えられる。一方、多神教ではそれぞれの物事にそれぞれの原因があると考える。

③なぜ偶像崇拝がダメ?
「人がつくったものを、人が拝んでいる」即ち、「ヤハウェに背き、自分を拝むのと同じ」だから。

この論理は、マルクス主義の資本主義批判(「疎外→物象化→物神化」という過程で人間の労働が貨幣化・資本化され、物神崇拝という本末転倒な状況になってしまった)同じ論理。

④イエス・キリストとムハンマドの違いは?
キリスト教にとってのイエス・キリストは、預言者とは異なる。
イスラム教にとってのキリストは単なる預言者に過ぎず、ムハンマド(預言者)より格下の存在。

ムハンマドがアッラーから受け取った言葉がコーランであり、コーランは一つしか存在しない。
一方、キリスト教では福音書(イエスの言行録)が4つもあり、互いに矛盾や相違もある。
※福音書はマルコ、マタイ、ルカ、ヨハネによって記されたイエスについての証言、預言書は預言者の予言を記録したもの。

⑤イエス・キリストはなぜ処刑された?
「神を冒瀆した罪」=自分が「神の子」であることを認めたこと。
しかしこれは福音書の中でもはっきりとは書かれていなく、冤罪ではないかという微妙な罪。そこから甦ったことで、殉死以上の殉死という名誉を受ける。

⑥なぜキリスト教がここまで広まった?
自由に法律を作れるから。
三大一神教の中ではユダヤ教が一番古い。ユダヤ教を否定してキリスト教が生まれ、その後誕生したイスラム教はより整合性がありシステマティックになっている。中世まではカトリック世界よりイスラム圏の方が大きかったが、宗教法が第一であった。それに対しキリスト教は社会の要請に応じて法律を作り、近代合理主義との親和性が高かった。

⑦そもそも宗教とは?
各自の行動に「それ以上の根拠を持たない前提」「証明されざる前提」を置くこと。その意味で、本当の無宗教・無神論というのは不可能に近い。

※日本人が考える無神論は、「神に支配されたくない」「自分の主体性、努力を大切にしたい」という思いが前提にある。

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