28 Dec 2012

差異と差別


こんなニュースがあった。

「アジア人になろう」顔写真加工アプリ、アジア系米国人が反発

記事によると・・・
目を細くしてナマズひげを生やし、円錐(えんすい)形の麦わら帽子をかぶればあなたもアジア人――。そんな顔写真加工アプリが米グーグルのアプリ配信サイトに投稿され、アジア系米国人の反発を招いている。
問題のアプリ「Make Me Asian(アジア人になろう)」は、「たった数秒で中国人、日本人、韓国人、それにどんなアジア人にもなれる」というのがうたい文句。ほかに肌の色を濃くしてペインティングし、羽飾りを付けて「アメリカ先住民になれる」というバージョンもある。
ただのおふざけなんだろうけれど、人によってはあまり良い気がしないでしょう。

よく、非アジア人が目を横に引っ張って細くし、アジア人のジェスチャーをして「Racist!」と怒りを買う場面がある。
もちろん、相手側に見下す意図があればそれは許されるべきではない。でも人種や民族の差異・特徴を表現することが、必ずしも人種差別につながるとは思わない。

例えば、トルコに来てからアジア人の特徴(特に切れ長の細い目)について言及されることが多い。でも、多くの場合相手は好意的な意味で使っている。細い目の可愛い赤ちゃんが欲しい、など。

そういう好意的な物言いに対して侮辱と感じる人の反応の裏には、その特徴に対して自分が自信を持っていない、もしくはそれが劣っていると考えているということがあるのかな、と思う。

一般的には「目がパッチリしている」「背が高い、足が長い」などがキレイもしくはかっこいいの特徴
だけれど、皆が皆そう感じるわけではないし、自分の外見的特徴に誇りを持っていれば、相手がどんな言い方をしてこようと気にならないわけで。
(まぁそういう自信を持つことは難しいとは分かっているけれど。)

違う例として「けつあご」がある。(正式名称は割れ顎らしい)

外国人の男優さんに多いこの特徴、海外では渋い男の象徴(?)として、顎を割る手術もあるらしい。ちなみにWikipediaによると「割れ顎がドラマチックな雰囲気を演出している」そう。笑
でも日本ではこの特徴は笑いのネタにされたり、これをコンプレックスに感じ、治療のための美容整形もある。

要は、自分が他人との差異をいかにポジティブな特徴として捉えるか、なのだと思う。

補足:
日本人や東洋人の場合、歴史的に草食だったため、一般的に『咀嚼筋』の発達が不十分であることから、けつあごになりにくいらしい。ただ、日本人も食事が欧米化し、肉を多く食べるようになったことで、体形が欧米化してきていることと同様に、咀嚼筋が発達し、けつあご化することもあるよう。

女性の場合は皮下脂肪が多いため、皮下脂肪でカバーされてけつあごが目立たないらしいけれど、間違ったダイエットや痩せすぎなどで女性ホルモンが減りすぎてしまうと、ホルモンのバランスが崩れてしまい、男性化が進んでけつあご化してくる可能性もあるらしいです。


そもそもけつあごって名称もよくないけれど!笑

15 Dec 2012

「人間失格」

恥の多い生涯を送って来ました。

言わずと知れた太宰治の名著「人間失格」。太宰自身の生き様を色濃く反映したと言われている本書は上の書き出しから始まる。

主人公、大庭葉蔵は周囲の前ではおどけた顔を見せ、本当の自分を誰にもさらけ出す事の出来ない男。自分を偽り、他人を欺き、過ちを犯し、ついには「人間、失格」の判定を自らに下す。

太宰がこのような人生を歩み最後は入水自殺を図ったこと、それよりもこの小説が1948年の発行後未だに名著として受け継がれ、映画化までされていることが凄いと思う。

即ち、この暗澹とした小説に深い共感や衝撃を受ける読者がそれだけ多いということ。

人間誰しも内面には闇の部分を抱えていると思う。それを普段表出することができないから、このような小説に救いを求めるのかもしれない。

30 Nov 2012

もしも生まれる場所を選べるなら?

日本のパスポートは最強、というのはよく聞く話。(正確にはこちらに書いた通り、世界第5位)

では、どこの国に生まれたら一番幸せなんだろう?
そんな調査がThe EconomistのThe lottery of life(人生を決めるルーレット)という記事に載ってました。

130か国における「人生の満足度」を比較するため、11の指標―GDP、生活コスト、平均寿命、教育などによって評価。Yawn Index、即ち、その国がどれだけ退屈かという面白い指標もありました。

で、その調査結果が以下。

北欧圏やシンガポール、香港の住みやすさはよく話題になるので納得できる。でも日本が予想以上に低い…!
ちなみに1988年に行われた同様の調査だと、米国が1位で日本は5位。生活コストや経済界のリーダーの不足(この指標が必要かは疑問だけれど)が特に足を引っ張っていたよう。

今回の調査における、各指標の詳細ポイントは公表されていなかったけれど、日本がなぜこんなに低いのか、ちょっと残念です。

10 Nov 2012

「置かれた場所で咲きなさい」

たまたま会社の先輩から送られてきた一冊。
他人に薦められなければ多分手に取ってなかったでしょう。最近「○○しなさい」というタイトルの本が多すぎてかなり食傷気味だったので…(おそらくその方が注目を浴びるという出版社側の意図なんでしょうが、これは日本人が全般的に誰かに指示されたいという願望を表しているのだろうか・・・)

著者は渡辺和子さんという、ノートルダム清心学園の理事長を務める方。修道者としてアメリカで修練を受け、30代半ばという若さでノートルダム清心女子大学の学長に就任したとのこと。

その多彩な経験を基に、人生において非常に重要な教訓を、とても柔らかい口調で語りかけてくれるのが本書。どんな世代にもお勧めできる1冊です。
以下、心に残ったフレーズをいくつか。

・神は力に合わる試練を与えない。
→どんなに現実でも、それが変わらないのなら悩みに対する心の持ちようを変えてみる。

・きれいさはお金で買えるが、心の美しさは変えない。
→神聖な心は自分との闘いによってのみ得られる。

・苦しいからこそ、もうちょっと生きてみる。
→生きようとする覚悟、そして笑顔は人に力と勇気を与えてくれる。

・順風満帆な人生などない。
→思わぬ不幸や失敗から本当に大事なことに気付くことができる。

・自分のいのちに意味を与える。
→家族、友人、他者への愛は生きる原動力。

・一生の終わりに残る物は、我々が集めたものではなく、我々が与えたものだ。
→謙虚になることが成熟の証。

・老いは人間をより個性的にするチャンス。
→人間関係を「量から質」に変え、自分を豊かに。「老い」を意識するとき、人はより柔和で謙虚になれる。

22 Sep 2012

脱・直訳英語!

どうやったら英語が上達するの?と聞かれることがある。
帰国子女じゃないのにTOEIC満点というのが信じられないらしい。

(そもそもスピーキングもライティングもないTOEICが本当の英語力を反映しているとは思えないけれど…そして帰国子女じゃなくても留学経験がなくても英語がネイティブ並な外国人はたくさんいるけれど…)

で、考えたところ、語学学習に対する発想の転換が自分の中では大きなターニングポイントだったかと思う。

それは、日本語から直訳しようと思うな!ということ。

誰しも最初は母語をベースに外国語を学ぶと思う。でも、基礎的な単語や文法を覚えた後は、その言葉の構成に沿って学習を進めるべき。なぜなら、言葉は社会的・文化的背景に基づいて作りだされたものであり、ある人々が“世界をどう区切っているか”の指標だから。

だから、必ずしも母語に置き換えることができない表現があるのは当たり前のこと。それを無理矢理直訳しようとするから、混乱するのだと思う。

代表的なのは「I miss you」という表現。
外国では一般的に使われているけれど、日本語だとイマイチ当てはまる表現がない(そして日本語を学習している外国人に、これ日本語で何て言うの?と聞かれて一番困る表現…)。ニュアンスが近いのは「あなたがいなくて寂しい」「愛おしい、会いたい」などでしょうか。でもちょっと違う感じ。

こういう場合、直訳しようとするのではなく、その表現が使われてる場面・文脈・話者の感情を読み取り、その言い回しを自分のものにしちゃうのが一番だと思う。使っているうちに、適切な用法が身についてくるはず。

日→英の転換も同様で、「お疲れさま」などはなかなか適切な表現がないので、その場面に応じてネイティブが使う表現を真似っこするのがベスト。最初は丸暗記でも、徐々に自分の表現になってくるもの。

尚、英語とスペイン語など、近い言語については直訳もかなり可能だと思う。そもそも日本語と英語はかけ離れた語族に属するので、母語を土台とした考え方から抜け出そうというのが主旨。

日本語と起源が近いと言われているトルコ語であれば、語順や主語の省略など日本語をベースに理解しやすいことは多いです。

8 Sep 2012

天国に行けるから犯罪は許される?

The Economistで面白いデータが紹介されていました。

The Devil's in the deterrent (悪魔の抑止力??)

オレゴン大とカンザス大の教授によるこちらの研究に基づき、67ヶ国の犯罪率と宗教信仰の傾向(天国/地獄の存在を信じているか)の相関性を調査したもの。

下のチャートが示しているのは
縦軸:犯罪率に関する標準偏差(67ヶ国の平均値との差)
横軸:天国の信仰率マイナス地獄の信仰率



面白いのは、天国を信じている人が多い国(ベネズエラ、コロンビア、ブラジルなど)ほど、犯罪率が高いということ。
いつかは赦されるという感覚が犯罪に対する枷を外しているということでしょうか。

まぁでも人間が弱い存在である以上、ネガティブな行為に対してアメとムチのどちらが効果があるかと言われればやはりムチ(=地獄、刑罰)なのかもしれません。

調査した国全体で見ても、天国の存在を信じている人の割合が多いようです。あまり宗教には詳しくないので、天国と地獄の存在は対として認識されているものと思っていましたが、全然そんなことはないんですね。

31 Aug 2012

トルコ島めぐり③:Marmara Adasi

最後は、こちらの連休を利用して3泊4日で行ったMarmara Adasi(マルマラ島)
イスタンブールからはフェリーで約3時間半。




マルマラ島は、ローマ時代に隆盛を極め、ビザンチン帝国からオスマン帝国の時代には、地元で産出される大理石で大いに栄えたそう。ここで取れる大理石は、帝国の建築物に使われましたとのこと。確かにトルコの大理石はブルーモスクの入り口など、至るところで使われています。

宿泊したのは家族経営の民宿風ホテル。ビーチから10分以内、手料理もおいしく閑静で素敵な宿でした。

ビーチは本当に綺麗&小さな島なので観光客も少ないです。




海辺のレストラン。


魚を求めて集まってくるネコたち。




へちま。多くはランプとして使われます。


花々や植物も生き生き。




オリーブの木があちらこちらに。



イスタンブールから数時間で行ける島はたくさんありますが、その中でも特に静かで、ゆったり過ごしたい人にはおススメの場所です。

25 Aug 2012

アメリカで働く

日本の労働市場の縮小が海外インターンやボランティアの普及と相まって、今ほど海外で働くことが注目されている時代はなかったのではないでしょうか。(ちなみに私は運よく?3年目で海外駐在に出ることになりましたが、周囲を見ていても初駐在の年次はどんどん低下している印象です。)

おそらく一昔前であれば、日本の大企業(商社やメーカー)に入りそこで5~6年経験を積んで海外駐在、というのが決まったパターンだったのかもしれませんが、最近では直接海外の企業へ飛び込む人も多いようです。

しかし、ただでさえ言葉のハンデがある多くの日本人にとって、いきなり海外の企業にチャレンジするのは相当ハードルが高いはず。

一体どんな人が成功しているのか…?と思っていたところ、良い記事を見つけたので紹介します。

アメリカ就職において最も重要な8つの要素

記事で紹介されている三浦雅人さんは高校を自主退学後、米国留学を経て、シリコンバレーを拠点としWebサイトデザインなどコンサルティングを手掛けるbtrax社にてインターンとして採用される。

彼の言葉で印象深かったのが
日本人が他のアメリカ人の方達と同じ方法で戦っても多くのハンデを負う上にレッドオーシャンになってしまうので、「バイリンガルマーケット(例え英語がビジネスレベルでも)」+「アメリカ人達と渡り合うことの出来る技術スキル」+「誰にも負けない何か一つの分野に対する情熱」、という3つの軸を持って挑むのがベスト
 「待つな。」これは僕の大学が行う就活講義で、学生達へ一貫して伝えられるメッセージです。…この「待たない姿勢」を理解することは、アメリカの就職活動文化を正しく理解することでもあります。またそれは日本の就職活動と全く異なる側面でもあるため、日本の感覚だけで進めようとすると失敗する可能性が高い
どうせ明日死ぬかもしれず、数十年しか続かない人生であれば、周りの声に耳を貸さずに、自分の心の奥深くにある声に耳を傾け、その欲求へ素直に従う生き方もいいと思う
 如何に他者と自分を差別化し、そのためのスキルや経験を積み、積極的に気概を持って行動するか、が海外就職では重要になるのかと思います。

特に、日本の様に皆が一斉にリクルートスーツを着て就職活動、なんて方法はとても特殊だと思うので、彼のような経験談はとても参考になりました。

6 Aug 2012

トルコ島めぐり②:Bozcaada

1日お休みを取り、木曜の夜~日曜でIstanbulからバス&フェリーで約7時間の場所にあるBozcaada(ボズジャ島の意)に行ってきました。

場所は地図の左端↓


トルコ語ではBozcaada、ギリシャ語ではTenedosと呼ばれるこの島。
ペルシャ、ビザンツ帝国、オスマン帝国に支配され、現在はトルコ領となっています。

島の人口は約2,500人だそうですが、その半数以上がギリシャ系。島ではギリシャ正教が主流とのこと。


Istanbulから少ししか離れていないのに、日本のとは比べ物にならないくらいの綺麗なビーチ。


エーゲ海は本当に美しい…が、夏でも水は冷たい。


トルコの典型的な朝ごはん。
パンとジャム、オリーブ、トマト&キュウリ、卵が基本です。


へちまで作ったランプ。可愛い。


街並みも可愛い。


島の主産業はワインの醸造。


丘の上には風力発電所も。


週末でこんな素敵な島に遊びに行けるのは、本当にIstanbulの醍醐味だと思います。



29 Jul 2012

トルコ島めぐり①:Buyukada

Istanbul南部、マルマラ海に浮かぶプリンセス諸島

9つの島からなるこの諸島。現在では近場にある避暑地として、夏場は地元の人々や観光客でにぎわっていますが、ビザンツ帝国時代に失脚した元皇帝などが幽閉されていたと言われています。


その中でも一番大きいのがBuyukada(トルコ語でBig Islandの意)。こちらに週末で行ってきました。

かつて裕福なギリシャ人やアルメニア人が建てたという別荘や、ビザンツ時代に建設された修道院が未だ残り、島内では車の使用が禁止されているので、移動手段は自転車か馬車。Istanbulとはまた異なる雰囲気があります。



現地に行って初めて知ったのですが、この島にはかつてトロツキーも亡命していたとのこと。
レーニンの死後失脚したトロツキーは、1929年ソ連から国外追放されるに至り、このBuyukadaに移住。ここから体制批判の為の雑誌を刊行していたとのこと。

彼が滞在していた住居は、今では森の中にひっそりとたたずんでいました。

そんな背景とは裏腹に、島はとてものどかな雰囲気があり過ごしやすかったです。






8 Jul 2012

年齢気にしすぎ病


古い体質のインフラ業界で働いているせいか、仕事を始めてから自分が若い(20代前半)ということを良い意味でも悪い意味でも痛感させられるようになった。(日本人とのコミュニケーションにおいて)
若いからこそすぐに覚えてもらったり、よくしてもらえることもある一方で、若さ=未熟さゆえにそもそも相手にされない・意見を聞いてもらえないことも無きにしも非ず。

仕事相手に年齢を直接聞かれることはまずないけれど、「入社何年目ですか?」とはよく聞かれる。そして、これは暗に「何歳ですか?」と同じ質問を意味しているのだと思う。

多くの日本企業においては年功序列・終身雇用という価値観が未だに強く残っており、相手の年次を気にする人がとても多い。というか、まず最初にする質問が「何年入社?」だったりする。
院卒や転職者の場合、年次は低いのに年齢は上ということも大いにあり得、その場合は色々と混乱をもたらすことが多い(気がする)。

そして、この年齢を基準に相手を判断する社会的傾向は、女性の場合にはより大きな負担となる。

最近はアラサ―やアラフォーなど、「〇〇歳なのに●●」という言われ方がよくする。
●●に入るのは美人、活発、未婚、再婚、出産などなど、色々な言葉があるけれど、どれもその年齢に対する一般的通念と比較した際、そのギャップが大きいから使われるのだと思う。

でも、この傾向にはちょっと(いや、かなり)違和感を感じる。

例えば30,40,50歳と歳を重ねていって、美しくなくなるなんて誰が決めたんだろう?
確かにシワは増えるし、昔の様なハリのある体ではないかもしれない。でも、豊富な知恵や経験に基づく内面的な魅力は20代とは格段に違うと思う。もちろん、外面的な美しさや愛嬌を保ち、洗練させていくおねえさん、おばさん、おばあさんもたくさんいる。

むしろ、“この年齢だからこうでなくてはいけない”という社会の圧力が彼女らを老けさせていくんだと思う。例えば、海外ではおばさん世代でも露出の多いキャミソールやスカートを平気で身に着けている。もちろん服装の好みは人それぞれだけれど、周囲の目を気にせず自分が好むファッションを楽しむことは女性の美にとってとても重要だと思う。


また、最近の芸能報道では「35歳なのに未婚」「40歳で出産」「50歳にして再婚」などなど、年齢を引合いに出した見出しをよく見かける。メディアが注目を集めるためにわざとそうしているのだろうけど、本人からすれば大きなお世話以外の何物でもないと思う。
30歳だって40歳だって色んな理由で結婚しない人はたくさんいるし、50歳だって魅力があれば誰だって再婚は自由。
年齢を明らかにすることで、その人の本質をネガティブな方向に歪ませる風潮には賛同できない。重要なのはその人の外見・内面であって、年齢という単なる数字ではないと思う。


と、そんなことを思ったのは最近スーパーボウルのハーフタイムショーやコンサートで活躍するマドンナが年齢を元に批判されているから。
彼女が現在53歳ということで、露出の多い服を自粛しろなど叩かれていた。でも、実際彼女の年齢を知らなかったら、多くの人が文句なしに彼女のパフォーマンスに魅了されていたと思う。(イスタンブールでのコンサートに相当問題があったという点は置いておいて…)
もちろん、これは人々の注目を浴びるセレブリティだからという特殊なケースではあるけれど、日本に比べれば、海外では年齢によって判断されることは少ないと思う。
渡辺千賀さんのBlogエントリー、アメリカでは年齢があまり関係ないことについてにもあるように)

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昔知り合ったケニア人の青年は自分の誕生日を知らなかった。だから、年齢も分からない。
見た目や話した感じからおそらく自分と同じ歳くらいだろうなーと思っていたけれど、もしかしたらすごい上かすごい下だったかもしれない。
でも、そんなこととは関係なしに彼はとても素敵な人だった(人間として)。

もちろん、酒やたばこ、映画などの視聴制限においては生物学的な指標としての年齢は重要。
でも、それ以外の場面で年齢を気にしすぎる社会の価値観は、自らを(特に女性を)不幸にしているようにしか思えないなぁ。

6 Jul 2012

「まっぷたつの子爵」

イタリア人作家イタロ・カルヴィーノ著「まっぷたつの子爵」。

カルヴィーノはキューバに生まれ、イタリアに育ち、第二次世界大戦末期には祖国解放を目指すパルチザンに参加しドイツ軍と戦った経験を持ちます。
戦後の混乱の中、トリノ大学に編入した彼は、その後数々の寓話的長編小説を短期間で書き上げます。

その一つが1716年のトルコ対オーストリア戦争を舞台にした本作。
小説のモチーフは「まっぷたつにされた人間」。

戦争でトルコ軍の大砲を受け、縦にまっぷたつとなり右半分だけ生き残ったメダルド子爵。九死に一生を得た彼は、その外見だけでなく中身も大きく変わり、悪意に満ちた残忍な人間に変わり果ててしまう。日々悪事を働き、村を恐怖のどん底に陥れるメダルド。ある日、彼の前に死んだはずの左半分が姿を現し、この“悪半”と“善半”が決闘することとなる。

メダルドは言います。
「完全なものはなんでも半分になるのだ。・・・かつて、わたしが半分だったころには、すべてのものが自然に、そして空気のように愚かしくも混乱して見えた。 
あのころ、わたしはなんでも見えるような気がしていたが、それは外観にすぎなかった。もしもおまえが半分になったら、そしてわたしはおまえのためにそれを心から願うのだが、少年よ、ふつうの完全な人間の知恵ではわからないことが、おまえにもわかるようになるだろう。 
おまえはおまえの半分を失い、世界の半分を失うが、残る半分は何千倍も深い意味をもつようになるだろう。 
そしておまえはすべてのものがまっぷたつにあることを望むだろう、おまえの姿どおりにすべてのものがなることを。なぜなら美も、知恵も、正義もみな断片でしか存在しないからだ。」
彼が示唆するのは、人間だけでなくあらゆるものの持つ二面性や不完全であるからこその可能性なのではないでしょうか。
また、善意に満ち溢れたメダルドの右半分の親切が仇となり、結果的に村人に迷惑をもたらすという描写からは、善悪の区別が必ずしも一定ではないことを表しています。

シニカルで幻想的なカルヴィーノの世界が楽しめると共に、とても本質的な問いを突きつけてくれる一冊です。是非ご一読あれ。

1 Jul 2012

「異邦人」


アルジェリア出身の小説家、アルベール・カミュの代表作「異邦人」。

彼の作品に一貫して登場するのは不条理という概念。
彼は不条理を理想との間に生じる対立、葛藤、分裂であり、理性をもつ人間が直面する問題だと定義。
 不条理に対し、人は3つの選択肢を与えられる。それは即ち、自殺、宗教などへの盲信、不条理の認識。

カミュはこの不条理を受け入れ、立ち向かうことを説く。
「運命を不条理と知る時には、意識によって絶えずこの不条理を目前に明らかにしつつ、この不条理を支えてゆくために全力を尽くさなければ、その人はこの不条理の運命を生きないことになるだろう。・・・生きること、それは不条理を生かすことだ。不条理を生かすこと、それは何よりもまず不条理を見つめることだ。・・・不条理はそこから眼をそむける時にのみ死ぬのである。かくして首尾一貫した唯一の哲学的立場の一つは反抗である。・・・ この反抗は人生にその褒賞を与える。全生涯を通じて行われる反抗は、その人の人生に偉大さを与える」
しかし、不条理に対峙した瞬間、人は孤独な“異邦人”となるのだ。

本作の主人公であるムルソーは、母の死に何の感情も持たず、葬儀の翌日に海水浴へ行き、女と関係を持ち、大して面識のないアラビア人を「太陽のせい」として殺し、獄中でも自分は幸福だと感じ、群衆が憎悪の叫びをあげ自分の処刑台に集まることを願う。
この、社会の一般的通念や人々の理想からかけ離れたムルソーの対応は彼を“異邦人”とならしめ、最終的に斬首刑との結末をもたらすことになる。

しかし、慣れ親しんだ環境への違和感や虚無感、無感動、感情を露呈することの無意味さは、誰しも人間社会で感じることがあるのではないでしょうか?
ただ、皆それを認めることで“異邦人”になることを恐れているだけなのだと感じます。

尚、本作では太陽と海の描写が多用されています。(主人公の名前ムルソー(Mersault)は、海(メールmer)と太陽(ソレイユsoleil)、この2つのフランス語を続けて発音すると近くなる)
アフリカ大陸に足を踏み入れたことがあれば、灼熱の太陽が人を狂わす理由も理解できなくはないでしょう。

ちなみに、本作はイタリアのルキノ・ヴィスコンティ・ディ・モドローネ監督により1967年に映画化されています。


30 Jun 2012

TOEFL vs IELTS

今月に受けたIELTSの結果が返ってきました。

TOEFLは2回受けたものの、120点満点中100程度と海外の大学院でギリギリ足切りにならない程度しか点数が取れず、独学でのスコアアップに限界を感じていました(特にSpeaking)。
そんな時、こちらのブログを発見。どうやらIELTSの方が対策が簡単そう・・ということでIELTSに乗り換えてみたところ、結果はOverall 8 (スコアは1から9のバンドで示されます)とあっさり目標に到達。
では、なぜIELTSの方が良いスコアが取りやすいのか?検討してみたいと思います。

まず、各試験内容の構成は下記の通り(一般的なIELTS AcademicとTOEFL iBTを比較)

IELTS Academic
TOEFL iBT
Listening
試験時間
30
60 100
問題数
40 問程度
30 問~ 36 問程度
試験内容
4 Section から構成
Section 1:
日常的な会話
Section 2:
日常にある説明
Section 3:
学術的な会話
Section 4:
学術的な講義
2 Section から構成
Section 1:
学術的な会話
Section 2:
学術的な講義
Reading
試験時間
60
60 100
問題数
40
36 問~ 70 問程度
試験内容
3 つのパッセージが出題
全て学術的な内容
1
パッセージ 850 字程度
3 5 つのパッセージが出題
全て学術的な内容
1
パッセージ 600 700 字程度
Writing
試験時間
60
60
問題数
2
2
試験内容
2 Task から構成
Task 1:
図や表、グラフ解説
(
20 150 語以上 )
Task 2:
主観の意見
(
40 250 語以上 )
2 Task から構成
Task 1: Independent Task
(
30 300 語程度 )
Task 2: Integrated Task
(
20 150 225 )
Speaking
試験時間
15
30
問題数
3
6
試験内容
Part 1: 自己紹介・挨拶
Part 2:
スピーチ
Part 3:
ディスカッション
Part 1: Independent Task
Part 2: Integrated Task

上記を基に、試験結果に影響する大きな違いを纏めてみました。

①試験時間
IELTSは全体で3時間以下なのに対してTOEFLは4時間以上。iBTであれば長時間パソコンに向かい合う必要があるので、相当な集中力が必要です。(IELTSは全て手書きで回答)

②各セクションの容易さ
Listening
IELTS:日常会話の比率が多く出てくる語彙も中学・高校レベル。また、回答すべき部分も数値や2-3の単語など平易。(但し、手書きで回答するので時制や複数形などの小さいミスもしやすい)
TOEFL:学生の会話、講義など全て学術的な内容。回答の選択肢も長い文章+語彙は大学レベル。
Reading
内容のレベルや文章量にはさほど差がないものの・・・
IELTS:紙ベースで読みやすい(人によるか?)
TOEFL(iBTの場合):全てパソコン表示なので目が疲れるし、書き込みができない。
しかもTOEFLは出題されるパッセージが3~5と毎回数が変わる。5題出ても2つはダミーで実際に採点されるのは3題分のみだそうから、これはただの集中力の浪費になる・・・
Writing
IELTSのTask2とTOEFLのTask1についてはほぼ同様で、ある問いに対し自分の意見を述べるもの。
大きな違いはもう一つのTask。IELTSのTask1では表やグラフから情報を読み取り、変化を説明することが求められます。これについては決まった言い回しを覚えれば簡単。(こちらのブログサンプルが非常に参考になります)
一方、TOEFLではリスニングで聞き取った講義内容と短いパッセージ(200-300語)の内容を比較・検討し要約する必要があり、どちらもきちんと理解していないと文章が書けない。
Speaking
Naitiveでないと一番点数がとりづらいSpeaking。一番の違いはIELTSが実際に面接官と対面で行うのに対して、TOEFLはマイクに吹き込むという形式でしょう。
また内容もIELTSは自己紹介や身近な話題に始まり、あるトピックについて意見を述べるというものなので、発言の自由度が高い。(トピックも家族、友人、学校教育、住む場所、技術の進歩などとっつき易いものが多い。You Tubeに沢山サンプルがあります)
一方、TOEFLでは会話や講義内容を聞き取り、関連する文章の内容と織り交ぜ、自分の意見や要約をする必要があり非常に高度。リスニングでうまく聞き取れなければそもそも発言できない。

③採点方法
IELTS:4セクションの平均でOverallの点数が出る=苦手なセクションがあっても他のセクションで挽回できる
TOEFL:各セクションの点数(満点30点)の合計が全体の点数となる=点数をあげるには全てのセクションで良い点を取る必要がある。

④試験管が英語で説明してくれる
試験会場によるかと思いますが、イスタンブールで受験した限りTOEFLは試験会場での説明や注意は全てトルコ語で行われたのに対し、IELTS初めから全て英語だったので、集中しやすかったです。(日本では日本語なのかなぁ?)
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勿論、IELTSは全ての大学・大学院が採用しているわけではないですが、最近は米国の大学もかなりIELTSの点数を認めている様子。(IELTSのウェブサイトによると米国でも3,000の教育機関が認めているそう)
しかも、大学によってはTOEFLとIELTSの要求水準が大分異なることが多い。MBAや大学院留学を考えている人であれば、アゴス・ジャパンのサイトから要求事項の一覧が見られます。
まずはクライテリアを確認し自分に合った試験を受けることが重要かと思います。
個人的には、絶対IELTSがおススメです。

29 Jun 2012

欧州のステレオタイプ

ちょっと前の記事ですがThe Economistに面白い調査が紹介されてました。

"Stereotypes of Europe"、即ちEUの国々がお互いにどういう印象をもっているか、という調査。

調査はEUの8か国(英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ギリシャ、ポーランド、チェコ)の人々に対して「最も勤勉である・ない国は?」「最も汚職がある・ない国は?」という質問がなされたもの。

結果は下記の通りで、ギリシャ以外の全ての国がドイツを最も勤勉だと思ってるそう。
当のギリシャは自国が一番勤勉だと思っている・・・。

ドイツは全ての国から汚職が少ないと見做されているとは、本当にEUの優等生なんだなーと思います。
一方で、ポーランドとチェコは(他国にはそう思われていないのに)自国の汚職を最も深刻だと考えているあたり、国民性が表れているのでしょう。確かに、仕事やプライベートで関わるポーランド人、チェコ人はラテン系民族とは違って自己主張が強くなく、謙遜する日本人の性格に近い気がします。(人によるだろうけど)



ちなみに、記事でも紹介されている通り、OECDの調査によるとギリシャの労働時間は欧州各国の中では断トツで長いそうです。これはちょっと驚き。(一位の韓国、二位のチリに続き三番手)まぁそれだけ労働生産性が低いということなのでしょうが・・・。
この調査結果によると、日本は34か国中15位と労働時間はそれほど長くないようですね。トルコより短いというのは意外な事実。

23 Jun 2012

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

アメリカ同時多発テロで失われた父の謎を追い求める息子。
そんな息子を見守る母。
そして道中で出会う様々な人々。

テロを扱った映画は多いものの、本作は変わった視点から人との絆の大切さを教えてくれる。

とっても暖かい映画でした。

16 Jun 2012

幸せを追及しましょう

Chikirinブログの大橋巨泉か森光子かというエントリー

人により好きなこと・嫌いなこと・満足すること・避けたいこと etcは違うので、「自分は何を求めているのか」「どんな人生を歩みたいのか」を意識することはとっても大事、という内容。

これ、基本的なことでありながら非常に難しいもの。特に、良い学校を出て家族や社会の高い期待を集めるほど、皆がよいと思う人生が自分にとってもよいものと錯覚してしまうと思う。

もちろん、周りと同じように官僚になったり大企業に勤めたりして、それで満足できればそれは素晴らしいと思う。しかし、それで少しでも不安や物足りなさを感じたら、それは他人の人生を生きているに過ぎない。

では、特にキャリアという意味において人生をどのように選択していけばいいのか?

Harvard Business Reviewのブログにおける「Embracing Risk in Career Decisions」(キャリア選択におけるリスクを受け止める)というエントリーが参考になりそうです。

人は一般的にキャリアを構築するに当たり、将来性や同僚との関係、企業の安定性など様々なリスクをいかに少なくしようかを考慮します。
しかし、それらリスクのコントロール以上に大事になるのが次の2つの要素。

①幸福度が高まるか?(Happiness Criteria)その選択がどの程度人生における幸福度を上昇させるか?もしくは長期的な満足度を保証するか?
例えば、昇進により給料アップが見込めたとしても、それが転勤を伴い愛する家族と離れ離れになる場合は、その選択が幸せをもたらすとはいえない。


②新たな環境に適応できるか?(The attitude factor):新たな選択に伴う環境の変化、新たな人々との出会い、予想しない出来事に柔軟に対応し、その機会を最大限生かせるか?
幸せを重要視することは必ずしもキャリアアップを諦めるということではない。例え周囲に反対されてとしても、自分の選択を信じそれに向かい前向きな態度を維持することが大切。

即ち、キャリア構築においてはいかに「リスクを減らすか」よりも、「幸せを増やす」ことを考えることが重要、とのこと。

これは人生においても同じだと思います。
将来への不安や自分の弱点などネガティブな要素だけに目を向けるのではなく、いかにポジティブな要素を増やし、自分が心地よく幸せな人生を歩めるか?を追及して生きるのが人間のあるべき姿でしょう。

その選択の際には、Chikirinブログで言われているように「働かない」選択肢も十分にアリで、他にも「貧しくてもアーティストを目指したい」「投資銀行でがっちり稼ぎを得たい」「主婦として家族を支えたい」などなど、人それぞれの趣向があるはずです。
一番悲しいのは他人の趣向に合わせてしまう人生でしょう。

ふと、思うこと

東京に20年くらい暮らした後、今イスタンブールに引っ越して切に感じること。

東京では自分の人生が点に納められているような気がした。
人間社会の中の一つの点。その点の中で周囲と関わり、それに適応できない場合は排除されるか、自ら退くか。
点の周りには人間社会で生きていくための全てのものが揃っている一方で、時としてとても窮屈だった。

一方、イスタンブールでは日々の生活が線になった。
太陽、海、緑に囲まれた生活環境と、古代から人類が築いた悠久の歴史と文化。
それらに支えられた自分の人生は、これまでの、そしてこれからの地球の歴史の流れのたった一部であることを思い知らされる。
そんな視点を持つと、毎日の下らない悩みなんてどうでもよくなり、「人生の目的は生きることなのだ」と思えるようになった。

どちらが好みかは人による。

でも、自分が一番フィットする場所を選んで生きることが一番大切なんだと思う。

3 Jun 2012

トルコという国について



トルコでの生活も1年と2か月が経ち、この国の色々な特性も見えてきました。

世界観光機関のデータによると、2010年の外国人訪問者ランキングでは7位にランクイン(ちなみにトップ3はフランス、米国、中国)。
日本人にとっても観光地として人気であり、訪れた人は皆良い印象を持って帰るのではないでしょうか。

しかし、旅行者にはなかなか見えづらいトルコの側面もたくさんあります。日本や他国と比べ、いくつか際立っている点を挙げてみます。

①家族の絆が強い
欧米や日本に比べ、家族・親族との繋がりが強く特別な理由がない限り子供は結婚するまで実家暮らしが多いです。(宗教や伝統的価値観に基づき、婚前の同棲を良しとしない家庭も多い)
職場から(特に緊急の用事がなくとも))親に電話をすることは日常茶飯事。
息子のデート中に母親が電話で「夜ご飯どうするの?」なんて聞いてきてもマザコンだなんて思っちゃいけません。
それくらい、家族のコミュニケーションが密なのです。

②とにかくやじうま
男女関わらず、おしゃべりやゴシップ、噂話が大好きなトルコ人。
女性陣は誰が誰と別れた・誰の新居の家具はどうだった・あのドラマの展開はこうなるはず等々、一日中お喋りに花が咲きます。
男性もビジネス・プライベート関わらず、チャイを片手に話し出したら止まりません。

これはやじうま根性、というか他人に対する好奇心がとても強いからだと思います。
例えば、初対面の人に「給料はいくら?」と聞かれることや、タクシーの運転手に「結婚してる?」と聞かれることはしょっちゅうです。
また、若いアジア人女性というだけで街中でジロジロ凝視されることなんて毎日です。

日本では例えば黒人の方が電車に乗っていてパッと見ることはあるかと思いますが、そのあとジーっと見るのは失礼にあたるかと思います。
しかし、トルコ人は自分の好奇心を隠すということを知らず(笑)、毎日近くを通る店の店員でさえ、私が通ると火星人到来!かのような顔でこちらを見てきます。それくらい、アジア人女性という異質なものに対する興味があるのでしょう。。

③誰にでも話しかける
日本で外国人が一人地図を手に持ち周りをきょろきょろ見ていたら声を掛けるでしょうか?言葉の問題もあり、あまり自分から声を掛ける人は少ないと思います。
しかし、トルコでは確実に誰かが話し掛けてきます。英語が分からなくったって、トルコ語でなんとか助けようと色々教えてくれます。
同じように、知らない人どうし何かを尋ねたり教え合うのはとても一般的。
例えば、家電量販店でおじさんに「このポット、白と黒どっちがいいかな?」なんて聞かれることもあります。(何とも答えづらいですが…)

日本で知らない人にいきなり話しかけたらギョッとされることが多いのではないでしょうか?
この助け合いの精神は、個人主義が進んだ先進諸国にとってはとても興味深いと思います。

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以上のような特性を総合すると、トルコ人はラテン気質に韓国人の要素が入ったようなイメージではないでしょうか。

他国に比べればスリやぼったくりも少なく、人々もフレンドリー(時におせっかい)なトルコ人。
時代と共にイスラム的な慣習・価値観がかなり薄れつつあるようですが、今後10年、20年で更に国としての国際的地位が上昇する過程で彼らがどのように変わっていくのか、非常に楽しみです。

1 Jun 2012

体験を買う旅

友人に紹介されて知ったFindJPNというサービス。

"Travelling is Meeting Local"(旅することは現地の人・ものに出会うこと)という理念のもと、同サービスでは日本を訪れた外国人が現地の人と知り合い様々な体験を共有する機会を提供しています。

FindJPN

こちらのサイトによると、創業者の方が本サービスを始めたきっかけは下記の通り。

僕がFindJPNをはじめようと思ったきっかけは、前職を辞めたときに2ヶ月間旅行したインドでの経験です。 
インドのダラムサラというダライ・ラマが住んでいる街を訪れたのですが、街の至る所に旅行者向けのチラシが貼ってありました。その張り紙を見て、タイマッサージのレッスンをインド人から受けて、そこで3年間瞑想と修行をしていたアメリカ人と知り合い、彼と伴に旅を始め、異文化の楽しさと、ちょっとしたキッカケで旅が格段に面白くなるという貴重な原体験をさせてもらいました。 
日本に帰ってきて、外壁を見回しても旅行者向けの張り紙はもちろんありません。日本で、外国人旅行者が旅を深めるのは、難しいだろうなと漠然と思っていました。 
その後、Airbnbという「空室のマッチングサイト」で自分の家のリビングに旅行者を泊めはじめました。旅行者に直に接してきて分かったことは、彼らは現地の生の情報が欲しかったり、どうやって楽しんだらいいか分からない人が圧倒的に多いということです。ガイドブックを持ってきているにもかかわらず、ほぼすべての人に「どこに行ったらいい?」と聞かれ、インドから帰ってきた時に感じていた漠然とした思いが確信に変わりました。 
その後、実際に自分で彼らをいろんな場所や体験に連れていき、それを事業にしようと思いはじめました。この事業を通じて、外国人旅行者だけでなく、より多くの日本人に異文化の楽しさを伝えられれば幸いです。
旅の醍醐味は単に色々な場所を訪れることだけではなく、その土地を知る人と交流し、地元の伝統文化や流行を学ぶことにもあると思います。
このサービスで提供されている体験は、お寿司作り、茶道、剣道、ホームステイから秋葉原のツアーやメイド喫茶体験など様々。これら体験を通じ、日本という国をより深く理解しリアルに感じてもらうことが本サービスの目的とのこと。
また、FindJPNではサポーターとして外国人と一緒に買い物に同行したり種々体験をサポートするボランティアも募集しているそうです。日本にいながら国際交流するだけでなく、日本人にとっても自国の文化を再発見する良い機会になるのではないでしょうか?

27 May 2012

「売れるもマーケ 当たるもマーケ」

自然には法則がある。その法則に従わない限り、格好いい飛行機も優れた建築物も無用の長物となってしまう。

それと同様に、如何に立派なマーケティング計画を立てようとも、マーケティングの不変の法則を知らなければ、モノは売れない。

マーケティングに関わる22の基本的法則を纏めた本書では、市場での失敗・成功のパターンが米国の優良企業(IBM、コカコーラ等)の事例と共に解説されています。初版発売は1994年でありながら、今日現在でも非常に有効な指南書であると評されているそう。

以下、本書のポイントをいくつかピックアップします。
①一番手の法則:
自分が先頭を切れる分野を創造すること。なぜなら顧客の心に最初に入り込んだブランドが市場をリードし、その商品の総称になるから(ex. バンドエイド、サランラップ)
②カテゴリーの法則:
あるカテゴリーで一番手になれない場合は、一番手になれるあたらしいカテゴリーを作れ。考えるべきは、新製品が競合製品よりどこが優れているかではなく、「どのが新しいか」=「どのカテゴリーで一番手か」。
③心の法則:
市場への最初の参入は、顧客の心に最初に入るという限りにおいて有効。アイデアやコンセプトをいかに顧客の心の中に吹き込めるかが最重要となる。
④知覚の法則:
マーケティングは商品の良し悪しではなく、顧客の心の中にある知覚に依存する。知覚こそ現実であり、他のものは全て幻である。私たちは信じたいと思うものしか信じないのである。
⑤集中の法則:
マーケティングにおける最も強力なコンセプトは見込客の心の中にただ一つの言葉を植えつけること。例えばFedexは「翌日配送」、ハインツは「どろりとしたケチャップ」。
⑥独占の法則:
二つの会社が顧客の心の中に同じ言葉を植えつけることはできない。
⑦梯子の法則
顧客の心の中には商品のカテゴリーごとに梯子が存在する。採用すべき戦略は、自分が梯子のどの段にいるかによって決まる。
⑨対立の法則:
ナンバーツーの座を狙う時の戦略は、ナンバーワンの在り方に依存する。即ち、ナンバーワンのエッセンスを見出し、それと反対のものを顧客に提供すること。
⑪遠近関係の法則:
長期的なマーケティングの効果は、短期的な効果の正反対であることが多い。(ex.バーゲンセール)
犠牲の法則:
何かを得るためには、何かを犠牲にしなければならない。例えばペプシはコカコーラに対抗するため、ティーンエイジ市場以外を犠牲にした。(しかし実際は29歳に見られたい50歳の男性もペプシを買うようになった)
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現在私は直接的にマーケティングを担当しているわけではありませんが、これらマーケの法則は実際にモノを売る立場にない人であっても、ビジネス上の交渉就職活動や対人関係におけるセルフ・ブランディングの際にも応用がきくかと思います。
その意味でも、とても勉強になる一冊でした。

26 May 2012

life

“Tell me, what is it you plan to do
with your one wild and precious life?”    ― Mary Oliver

            

22 May 2012

技術を使って世界を変える

Kopernikという団体をご存知でしょうか?

2010年、中村俊裕さんという方が国連在職中に設立した、途上国に暮らす最貧層の人々の生活改善に向け現地に根差したテクノロジーを届けることを目的としたNPO団体です。

中村氏は、国連スタッフ及びマッキンゼーでの経験から従来の途上国支援に不足してる「最貧層への直接のインパクト」及び「革新的解決策」を追及し、Kopernikを設立。(中村氏の経歴はこちらに詳しいです)

彼のTED動画からも、いかに情熱と冷静さを兼ね備えた方であるかが分かるかと思います。

 
Kopernikの特徴は、「技術を持つ企業や大学」「寄付を行う出資者」「現地コーディネーター(NGO等)」をオンライン上でマッチングさせ、途上国のニーズに基づいたシンプルな製品やサービスを届けるというビジネスモデル。

公開されている年次報告書によると、2011年は23件のプロジェクトにより9か国43,000人の支援を達成。

Diamond Onlineのコラムにて中村氏が述べているように、途上国の最貧層と言われる人々が直面する主要な課題は①現金がない、②電気がない、③安全な水がない、④トイレがなく衛生状態が悪い、⑤調理の際の燃料効率が低い、⑥農業の生産性が低いの6点。

これらを解消するために届けられた技術の例としては、ソーラー補聴器、助産婦キット、クリーンな調理用コンロ等々、こちらから一覧が確認できます。

学生時代にケニアの農村で暮らした身としては、こちらのQドラムなんて本当に画期的だと思います。水道のない地域で毎日生活用水を川から運んでくるのは本当にキツい仕事。
小さい女の子でも頭にバケツを乗せて毎日水源まで何往復もし、学校に通う時間を奪われていることも多いです。
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貧困層を対象とした所謂BOPビジネスは今や一種の流行のようになっていますが、知られているものの多くが欧米のビジネススクールでケーススタディとして取り扱われているような大企業による成功例かと思います。(例えばグラミンダノンユニリーバの取組など)

その一過性の華々しさとは裏腹に、実態としては企業側で価格や技術の適合性を取れなかったり、また途上国相手に必要となる柔軟な対応ができずに、BOPビジネスに失敗した例は枚挙に暇がないのでしょう。

しかし、中村氏がこちらで述べているように、現地の制約条件に合わせ高い創造性とロースペックさを備えた製品を開発することは、本来モノづくりを得意としてきた日本企業にとって大きなチャンスとなり得ます。
ただ、日本企業に欠けているのは現地の状況を実際に自分達の目で見て実感すること。

そのためには、これまでの保守性を捨て、どんどん現地に足を運び、現地の人々と交流する中で彼らのニーズに併せたサービスを開発していくことが求められているのだと思います。

21 May 2012

トルコと不法移民

トルコの大衆紙Today's ZAMANによると、これまで欧州への不法移民の経由地であったトルコが、彼らの最終目的地になりつつあるとのこと。



トルコ当局にて纏められたレポートによると
・2009年約27,000人であった不法移民の検挙件数は2011年には35,000人以上に増加
・約80%は男性で大半は19~25歳。
・4人に1人は読み書きができず、多くは現在建設業に従事。
・移住理由の70%以上は生活の糧を得るため、他には戦争、政治的理由など
・85%以上の不法移民が人身売買組織の助けを得て不法入国している
・2001~2010年、人身売買により検挙された9,000人以上がトルコ出身であり、その他にイラク、イラン、パキスタン、アフガニスタンが続く
・2011年、人身売買を通じて発生した利益は3億ドル以上

記事にて指摘されているように、不法移民は人道的・経済的問題を喚起するだけでなく、トルコのEU加盟交渉にも影響を与えかねません。欧米と中東の橋渡し役としてリーダーシップを獲得したいトルコ政府が今後どのような対応を取るかが注目されています。

19 May 2012

Twitterの使いかた

5月15日付日経新聞に掲載されていたTwitter Japan代表、近藤正晃ジェームス氏による働く女性向け・Twitterの活用方法。参考になる内容が多かったため、備忘録代わりに載せておきます。
尚、近藤氏は慶應→マッキンゼー→ハーバードMBAで、Table for Twoの共同代表も歴任するなど、マルチタスクな方です。

①「どんな自分になりたいか」を常に考えて情報を選ぶこと
 現在、TwitterのActive Userは1億4000万人、1日のツイート数は3 億4000万件に達するそう。この中には自分がなりたいと思う人が必ずいるはずで、彼・彼女らをフォローすることで「なりたい自分」のイメージがしやすくなるとのこと。
②ためになったツイート、面白かったツイートに返信してみること
 Twitterの良い点は世界中の人とリアルタイムで情報交換ができること。これを活用し、自らメッセージを発し、対話の中で思考を磨くことが重要。
③自分の「いま」を発信すること
 他の誰にも真似できない新鮮でリアリティ溢れる自分の「いま」を、メッセージとして発することがTwitterの醍醐味の一つ。
④重要だと思う情報に毎日接し続けること
 以前のポストでも書いた様に、思考は人間の行動や性格の根幹を為すもの。この思考の在り方は、どのような情報に日々接しているかにより決まるため、自分にとって意義がある思える情報に意識的に触れることが大切。
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私の場合、FacebookはFace to Faceの付き合いがある友達との交流、Twitterは自分と同じ興味(途上国開発、海外移住、ダンス、映画、音楽、芸術etcなんでも)を持つ人々が日々どのようなことを考え、行動を起こしているのかの情報収集、と使用目的を分けています。
なので、Twitterでは基本的に真面目なことばっかり発信していますが、Twitter経由でお会いしたことない人から連絡を頂いたりもするので、やはり自ら発信していくことは重要なんだなぁと感じる今日この頃です。

12 May 2012

Free Travel

トルコに来て一番の収穫は、色んな国の友人・仕事仲間ができたこと。特に、中東やアフリカ出身の人々とは日本で知り合う機会が少ないので、彼らとの交流の中で互いの文化を学び合えるのはとても嬉しいです。

そこで改めて感じるのが、日本人というだけでどれだけのメリットを享受しているかということ。日本人が多くの国で勤勉・真面目・礼儀正しいという印象を持たれているという事実は素晴らしいことだと思います。逆に言えば、ある国の出身というだけで貧困やテロなどネガティブなイメージを持たれてしまう人々がいるということも事実です。
例えば、トルコにおいても日本はrespectすべき国との印象があり、日本人というだけでかなりの好印象を持たれます。最近は韓国人の印象も良いみたいですが、中国人については粗悪品などのイメージが強く、中国に対してはあまり良い感情を持っていないよう。

日本人であることのメリットを一番実感するのがおそらく海外旅行でしょう。イスタンブールからは今のところ英国、ギリシャ、ドバイ、チェコ、オーストリアに出向きましたが、全ての国において短期の滞在であればVISAは不要です。しかし、シリアやイラク出身の友人によると、彼らにとってはどこに行くにもVISAのApplicationが煩雑で時間もかかり、場合によっては取得できないこともあるそう。

The Economistの統計によると、VISAなしの海外旅行ができる国ランキングでは日本はスウェーデン、フィンランド、デンマーク、ドイツに続き第5位となっています。223の国・地域中、170近くの行先がVISAの心配をすることなく選択できるというのは、本当に、凄いことだと思います。



こちらのコラムでちきりん氏が日本に生まれたことの幸運さを述べている通り、「自分がとても恵まれた立場にいる」ということを認識することは重要だと改めて実感しました。

6 May 2012

他人の目を気にしてはいけない9つの理由

友人に教えてもらった、Dana Saviucという女性によるPurpose FairyというBlog。
誰しも苦難や悲しみに遭遇しネガティブな状況に陥ることはあるけれど、それらを乗り越え人生を豊かに生きるための素敵な言葉が綴られているBlogです。


印象に残ったポストがあったので、日本語訳と共に備忘録まで◎


9 Reasons Why You Should No Longer Care About People's Approval
(他人の目を気にしてはいけない9つの理由)

1.You Simply Can't Be Liked by Everybody
  誰からも好かれるなんてまず不可能
2.You Can Live a Happy Life Without “Their”Approval
  “彼ら”から認められなくったって幸せな人生は歩める
3.You Can't Control What Other People Think of You
  他人が自分のことをどう思ってるかなんてコントロールできない
4.Approval Seeking Behavior is Time Consuming
  支持を求める行動なんて時間のムダ!
5.Approval Seeking Behavior Drains Your Energy
  支持を求める行動は単なるエネルギーの消耗!
6.Freedom to Be Who You Want to Be
  なりたい自分になる自由がある
7.Inner Peace
  他人を気にしなくなった時、心の平穏が訪れる
8.You Are The One In Control of Your Life, Not Them!
    自分の人生をコントロールできるのは、他の誰でもなく自分だけ!
9. The ONLY Person You Must Get Approval From Is YOU!
  だから、自分が承認を得るべきは自分自身なのである。


最後に、心に残った言葉を。
“Care about people’s approval and you will be their prisoner”  ―Lao Tzu
“他人の賛同を気にした瞬間に、あなたは彼らの囚人になってしまう”―老子

5 May 2012

「Biutiful」

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督、ハビエル・バルデム主演の「Biutiful」を鑑賞。
同監督はアモーレス・ペロス、21グラム、バベル等でも有名。
ハビエルはスペインを代表する男優で、ペネロペ・クルスの旦那さん。彼の作品は実在の全身不随の男性を描いた「海を飛ぶ夢」が一番だったけれど、本作でも本当に力強く、濃い演技をしていた。



ストーリーの主軸は、末期がんを宣告された男が子供たちとの時間を過ごすというもの。一見在り来たりになりそうなこの内容に、男の商売やそれに関わる人々(中国人移民による偽商品製造、アフリカ人移民による違法販売などなど)の生き様が生々しく描かれている。

そしてこの違法商売は実際に世界各地で起きている問題であり、その裏側にある一人一人の人生を想像すると本当に心が痛くなった。

根底にあるのはやはり貧困や失業であり、彼らの違法行為を追及する前にその根本を断ち切るような支援が必要になるのだと強く実感させられた映画でした。

1 May 2012

「アイデアのつくり方」

なにげなくアマゾンで見つけた「アイデアのつくり方」
著者は米国最大の広告会社、トンプソン社の最高顧問を務めた
ジェームス.W.ヤング。


アイデアをいかにひねり出すかという課題は、広告に携わる者だけでなく全ての企業人に突きつけられる課題だと思う。例えばiPhoneひとつをとってもジョブズ一人の発明(=アイデア力)だけでなく、製造・販売・宣伝のすべての過程において多数の人々のアイデアが混ざり合った結果、成功を収めたのだと思う。そう考えると、どのようにして良いアイデアは私たちの頭に舞い降りてくるのかは誰もが知りたがるところだろう。


それをたったの60ページ(日本語版)で解説してくれているのが本書。
著者が提唱する方法はいたってシンプル。
まずはアイデア作成の基礎をなす下記2つの原則を知ること。
①アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもないということ
②既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きいということ
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ところで、①の“新しい組み合わせ”という言葉を見て、日本総合研究所でBOP市場の研究を行う槌屋さんのブログにある次の文章を思い出した。
“多くのBOP向けに利用されている技術が・・・新しい組み合わせを作り出すことで再利用され、再加工され、新しい価値を生み出している。・・・組み合わせを刷新するために求められたものは、二つのかけ算項目の間を調整する力であり、一つではなく複数で作り上げる過程である。つまり、新しい組み合わせを作り出すために必要なプロセス、がイノベーティブであり、人を活性化させるのだ。”
BOPという新しい分野のビジネスにとっては、益々物事を効果的に関連づける力は重要になるのだろう。
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次に、著者は実際にアイデアを生産する5つの段階を紹介。
  1. 資料を収集(一般的資料+特殊的資料)
  2. 資料を咀嚼
  3. 問題を完全に放棄し、自分の想像力や感情を刺激することをやる
  4. ユーレカ(発見した!)の瞬間
  5. アイデアを具体・実践化

一見複雑なアイデア作りという作業をここまで単純明快に説明しているのは本当にすごい。このシンプルな法則をいかに心に留め、咀嚼し、日々の作業に適用していけるかが重要なのだと思う。

27 Apr 2012

「若きウェルテルの悩み」


「あの人が私を愛してから、 自分が自分にとってどれほど価値のあるものになったことだろう。」

ドイツの詩人・小説家・哲学者・法律家であるゲーテ25歳の時に著した「若きウェルテルの悩み」

本作では、婚約者のいる女性・ロッテに恋をした青年ウェルテルが、その叶わぬ想いに苦しみ、果てには自殺を図るまでの経過が彼女への手紙の形で綴られています。

ゲーテの実体験に基づいているという点が本作のポイント。
彼は23歳の時であったシャルロッテ(当時19歳)に魅了され、恋に落ちます。しかし、彼女には婚約者がおり恋愛関係を結ぶことを拒まれ、結局彼女は別れも告げずゲーテの元を去ってしまいます。
失意に沈むゲーテは、彼女の結婚が近づくにつれ自殺も考えるように。そんな時、ゲーテの友人エルーザレムが人妻に恋して容れられず、絶望して自殺したとの知らせにゲーテは大きな衝撃を受けます。
この友人が自殺する前後の様子を文書にし、自身の失恋体験と合わせ本作の構想が得られたとのこと。着想からわずか4週間で執筆されたというのだから驚きです。

恋に落ちた者なら誰しも分かるであろう片想いの苦しみ。
それが全編に散りばめられた美しい文章で表現され、読者に魅惑的な印象を与えています。
以下、いくつか本編からの抜粋を。
「なぜたよりをしないかって?…察しがつかないのかなあ、私は無事で、しかも―。簡単にいうと、私には一人の知合いができた。それが私の心をすっかり占めている」(616) 
「たしかに、私は感ずる。ロッテは私を愛している!あのひとが私を愛してから、自分が自分にとってどれほど価値あるものとなったことだろう」(713) 
「もし恋なかりせば、この世はわれらの心にとってなんであろうか?」(718) 
「愛するロッテよ、この一室にいて、あなたに手紙を書かずにはいられなくなりました。この部屋に足を踏みいれるやいなや、あなたの姿、あなたの思い出が、私に襲いかかってきました。おお、ロッテ!きよらかに、あたたかく!ああ、あの最初の幸福な瞬間がふたたびよみがえってまいりました」(120) 
「きまりました、ロッテ、私は死にます」(1221) 
「弾はこめてあります。―12時が鳴っています!では!ロッテ、ロッテ!さようなら!さようなら!」(1222)
尚、本作に基づいた映画も製作されております。評判のほどは分かりませんが。。