3 Dec 2011

優しい成功哲学

スイスの哲学者Alain de Bottonが語る"A kinder, gentler philosophy of success"。素晴らしい内容だったので紹介します。


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21世紀を代表する「ご職業は?」という質問。


これは現代の人間にとっていかに自身の経歴が人生の成功を決定づける重要な要素になっているかを示している。
(一般的に考えられる)華やかなキャリアを持つ人はそれを鼻にかけ、一方キャリアが人より劣っていると感じると人は非常に不安になってしまう。


その背景にあるのが、人は皆平等という前提に基づき誰もが抱いてしまう他者への妬みと、「勝ち組」「負け組」という発想。そして成功も失敗もすべて自分自身に原因があると考え、失敗して他者から嘲笑されることを恐れる。


しかし、世の中の事柄は多くが偶然や事故等の環境的要因に左右されているし、全てのことに成功するなんて不可能なこと。
何よりも重要なのは“自分が考えに基づいた”成功をするということ。なぜなら成功した後に、それが自分の本当に望んでいたものではないと分かることほど、不幸なことはないからだ。
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“他者を基準にした幸福”はまさに現代人(特に日本などの先進国)が抱える病だと思います。他人と同じであることや皆が賞賛するものを求める続けることは安心感という甘い蜜を与えてくれますが、求め続けた後にふと後ろを振り返ると自分の理想とは全くかけ離れた“他者の人生”を歩むことになっているかもしれません。

自分の中に確固たる芯を持ち続けることは非常に難しく、強い精神を要求します。しかし、その揺るがぬ一本の槍を腹に据えることで本当に自分固有の人生を全うすることができるのではないでしょうか。

そんな人生を歩めるよう、日々努力したいものです。