24 Nov 2011

Boots on the ground

The Economist紙が米軍の配置状況(陸軍、海軍、空軍、海兵隊の駐留数)の推移をグラフに纏めています。(元の記事はこちら。)


65年~70年代にアジアにおける駐留数が激増しているのはベトナム戦争の影響ですが、現在では全体の約10%程度にとどまっています。しかし、先日のニュースによると、クリントン国務長官もイラクとアフガンへのこれまで10年の軍事努力の重点を、少なくとも今後10年はアジア・太平洋へシフトさせると明言しており、今後は中国けん制に力を入れ始めるでしょう。

イラク戦争後は中東での駐留数が急増しましたが、逆にこれまではほとんど中東に配置されていなかったという事実も驚きでした。また、総じて言えるのは紛争は絶え間なく発生しているのに、米国がいかにアフリカを重視していないかということでしょう。おそらく、米国自身の安全保障に関わる喫緊の課題がないからだと思いますが、ここまで少ないとは思いませんでした。

一方、先日FastCompany紙がこんな記事を紹介していました。
内容は、アフガニスタンに駐留する米兵の為、Skypeがオンラインで子供の出産に立ち会えるサービスを提供しているというもの。




現在、米国では5歳以下の子供約80万人以上が兵役に従事する親(片親or両親)を持っており、その為に別離を余儀なくされているとのこと。 いくらテクノロジーが発達したとはいえ、幼少時代に肉親と(物理的に)一緒の時間を過ごすことが子供の成長にとって大事ということは言うまでもありません。一日も早く軍が不必要になる世界が実現することを願います。

17 Nov 2011

イラクという国

こちらで通っている語学学校にイラク人のクラスメイトがいました。(今はクラスが変わったので過去形)

彼はモデルになれるんじゃないかというくらい美形で、私より5歳も年下(に全く見えない)。
いつも笑顔でクラスのムードメーカーだった彼。エジプト人のクラスメイトとは母語のアラビア語で会話するものの、英語はネイティブ並みで発音も非常に綺麗。そしてキリスト教徒。(英語はアメリカのドラマや映画を見て勉強したらしい)

トルコでは翻訳の仕事をやっていて、2年前に兄弟・従妹と共に車でイラクから来たそう。(ちなみにご両親は戦争で亡くなり、兄弟も皆ご両親は違うとのこと)
彼の出身地MosulからIstanbulまでは距離にして約1,800km、ぶっ続けで運転しても一日近くかかるよう。


大きな地図で見る

そんなバックグラウンドなんて微塵も感じさせない、明るい彼。ニュースでは毎日の様にイラクでのテロや被害の様子が流れていたけれど(最近は減った)、恥ずかしながらイラク人の友達ができて初めてイラクという国を身近に意識したので、ちょっと歴史を紐解いてみました。

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人類最古の文明として知られるメソポタミア文明発祥の地であり、イスラム帝国、オスマン帝国、イギリス帝国の時代を経て、イラク王国として1932年に独立。58年に共和国となるも79年に就任したサダム・フセイン大統領統治下、戦争が勃発。

80-88年のイラン・イラク戦争、90-91年の湾岸戦争により経済制裁を受け、国際社会から隔離。03年のイラク戦争を最後に、20年以上に亘る戦争は終結したものの老朽化・破壊されたインフラが約3千万人の国民の生活・国の発展の妨げとなっている。

しかし、07年後半からは警察や軍などの治安部隊の増強により治安の改善が進み、また原油等の豊富な天然資源やインフラ整備のニーズを中心に世界各国が官民を挙げてイラクでのビジネスに積極的に乗り出している。日本企業もJICAの資金協力により発電所や橋梁・道路の建設事業に取組んでいる。

イラク国内での支援を効率的に進めるべく、JICAは09年7月にクルド自治区のエルビルに、11年8月には首都バクダッドにも事務所を開設。ハード面だけでなく人材育成や技術協力プロジェクトの開始など、ソフト面での協力にも力を入れているとのこと。

イラクの民族構成はアラブ人が8割、クルド人が2割で他はトルクメン人、アッシリア人等。北部のクルド自治区は国内で最も治安が安定しているそう。クルド人はイラン・イラク戦争末期の88年、イランと通じているという疑いによりフセイン元大統領により毒ガス攻撃を受け、約5千人の命が失われた。
その悲劇を忘れない為にとハラブジャという街には当時を再現した立体模型や壁画を展示した博物館がある。地元の人々は原爆投下で同じ悲劇を経験した日本に対して親近感を抱いており、ハラブジャは「イラクのヒロシマ」とも呼ばれているそう。

戦争が起こる前の70年代には多くの日本企業がイラクに進出していた。当時は1万人以上の日本人が住んでおり、バグダッドには約100人の生徒を有する日本人学校もあった。その後度重なる戦争により日本企業は撤退を余儀なくされたが、当時導入された日本製のプラントは稼働し続けているものも多い。

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10月21日に米国のオバマ大統領は今年中にイラクからの米軍撤退を完了させることを発表しました。

5~10年後にはイラク自身による復興・発展・自立の道が開けると思います。戦争が残した爪痕はあまりにも深いです。しかし、そこから這い上がる人間の力を信じたいです。トルコに難民として逃れてきた友人がいつか再び祖国の地を踏める日を願って…

16 Nov 2011

ハッジ

ハッジをご存知でしょうか?
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ハッジ(アラビア語:حجّ‎ ḥajj, トルコ語 hac)とは、イスラーム世界における、メッカ(マッカ)への巡礼の事を指す。五行の1つ。ヒジュラ暦第十二月であるズー=ル=ヒッジャ月(巡礼月)の8日から10日の時期を中心にメッカとその周辺地域で行われる一連の諸儀礼から構成される。

伝統的に、メッカへ巡礼する人たちは、友達・家族と、あるいは地域のモスクの主催でといった具合に、お金を節約するために集団で旅行した。いくつかの航空会社では、メッカへの巡礼者のために特別便(ハッジ・フライト)を運行している。

女性がメッカに行く際には、父親や夫、あるいは兄弟といった男性の親族と一緒にメッカに行くことを奨励されているが、サウジアラビア政府は、単身での渡航を許可している。メッカでは、ムタッウィフ (Mutawwif) と呼ばれるガイド役が、巡礼にまつわる様々な手助けをする。―wikipediaより
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太陽暦に基づいていないため毎年時期は変わりますが、今年は11月4日~9日までの期間約300万人のムスリムがサウジアラビアのメッカに巡礼に訪れたとのこと。
毎年その様子はAl jazeera等のメディアで生中継していて楽しみに見ていたのですが、今年は旅行で見れなかったためthe Atlanticが掲載している写真を紹介します。

日本では宗教が身近になかった私は、このハッジの様子を見ると宗教の求心力や神秘性にただただ圧倒させられてしまいます。。。


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Kaabaと呼ばれる黒石の周りに集まるムスリム達

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巡礼の様子を監視する警備員達。これだけの人が集まるとやはり毎年事故や死傷者が発生するそう。

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上空から見たメッカの様子。

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メッカの中心にあるKaabaを覆うシルクの布を刺繍する様子。一つひとつが細かくて非常に美しい。
ちなみにKaabaの衣替えの様子は毎年恒例になっているようです。↓




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メッカに赴くことのできないムスリムもそれぞれの地で祈りを捧げています。こちらはインドのタージマハルにて。

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同じくインドのムンバイ。インドは80%以上がヒンドゥー教徒でムスリムは13%とマイノリティだけれど、母体の人口を考えるとムスリムだけでも日本の人口を上回っています。

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こちらは雨の中のテヘラン(イラン)。

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ラホール(パキスタン)で巡回する軍。

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そしてジャカルタ(インドネシア)。

圧巻としか言えません…
サウジアラビア、一度は訪ねてみたいけどどうやら独身女性のビザ取得はかなり困難なよう…残念。。。

9 Nov 2011

未来のATM

世界の約50%以上の人々が未だに銀行サービスへのアクセスがないとされています。金融サービスは経済活動の潤滑油であり、市民にとっても日々の生活に非常に重要なものです。

今回紹介する米国のNCR社が開発したのは読み書きのできない人用のATM。

もともとはインド・ムンバイのスラムに多くの読み書きのできない住民がいるとの同社調査に基づき、インド全土での金融サービス拡大のために開発されたもの。
形状は下のとおり、ドラム缶の様な感じ。

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特徴は非接触カードリーダー、指紋認証と色分けされた預金引き出しボタン(色により金額が異なる)。もちろん文字は一切なし。

現在は米国での試験導入準備中であり、テスト後は途上国を中心に導入予定とのこと。テクノロジーの発展があらゆる特性を持った市民の生活向上に貢献している良い例ですね。

1 Nov 2011

How far can we go?

トリップアドバイザーが纏めた、日本からノンストップ直行便が就航する都市のマイル別一覧。
(見にくい方はこちらへ)

一番遠いのは、メキシコシティなんですね。2010年1月より、往路が成田~メキシコ・シティ間ノンストップ直行便として運行開始され、最短約13時間ほどで結ばれるようになったらしいです。
でも13時間ってエコノミ―は想像するだけできつい…


トリップグラフィックス ノンストップ直行便が就航する都市