15 Oct 2011

「ウェブ時代をゆく」

インターネットという「学習の高速道路」によってもたらされた、混沌として新しい時代。
このウェブ進化という変化の中で少しでも「見晴らしのいい場所」に立ち、チャンスを掴む為にはどのような心構えが必要なのかをテーマとした本書。
ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
(2007/11/06)
梅田 望夫

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著者の梅田氏は「学歴も経歴も肩書きも人種も国籍も何もかも裸になった個の自由競争の場がネット上の知の世界に開かれた」とし、ウェブ進化が個の可能性を最大化させ一人で自由に社会を生きる可能性を開いたと指摘。
そして、時代の変わり目を生きるために重要なポイントとして「古い価値観」に過剰適応しないこと、そして自分の「志」を核として自発的で能動的な「新しい強さ」を身にまとうことをあげています。

海外に出てから特に意識するようになった「働き方」。
日本の大企業に一度入ると、毎日のルーティーンをこなし流れに乗って行けばリストラもないしで将来安泰。その代わり、外の世界で戦える人材には育たず井の中の蛙で終わってしまう。
勿論、そこに価値観を見出せる人はそれがベストだと思う。でも(日本という国そのものだけでなく)日本企業さえも新興国に経済力・競争力で追い抜かれていく状況下、個人としてどう生きるか(=世界の中でどう自分を差別化しキャリアを築いていくか)を考えることは非常に重要だと思う。

そして、その際にポイントとなるのがインターネット。自らの「好き」という志向性を体現するためのインフラとしてウェブを活用することがいかに重要か、著者は強調している。
(余談:シリコンバレーでベンチャーキャピタルを設立した彼が日米の学生を比較し、「米国の若者は力がなくてもやたらと自信がある一方、日本の若者は力があるのに自信がなさすぎる」と指摘したのは的確。)

変化の激しい時代を生きる(生きていかなければならない)20代にとって、非常に示唆的な一冊でした。