11 Dec 2010

「文明崩壊」

前著「銃・病原菌・鉄」において、環境的要因によって文明発展の速度や度合が異なることを導き出した著者が、本作では一度繁栄した文明がどのように崩壊・滅亡していくのかを描いています。

たとえば、モアイ像で有名なイースター島は資源の過剰開発によって自ら滅びました。マヤ文明は森林破壊、資源をめぐる争い、人口過剰などといった問題に対して適切な解決策をとることができずに崩壊しました。

過去の失敗に関して、「なぜきちんと対応しなかったのか」と問うことは簡単。しかし、我々も環境問題、人口問題、資源問題といった難問に対処できなければ、彼らと同じような運命をたどる可能性があるとのこと。
むしろ、個別に文明が存在していた時代よりも、グローバル化の浸透が問題を複雑化させているため、「地球規模での解決策」という更なる難題が我々には突き付けられていると言えまsy。

しかし、著者は悲観的ではなく、過去の教訓から現実的・建設的な処方箋を導き出します。
たとえば、江戸時代の日本では乱伐によって深刻化した森林破壊を徳川幕府の育林政策によって再生し、持続可能な森林管理を行っていました。それによって、日本は他の文明のような崩壊の危機を乗り越えることができたとのこと。

現在の問題を乗り越えることは途方もない作業に思えるかもしれない。しかし、地球に生きる市民として、一人一人が意識を高める必要があると思います。なぜなら、それが問題解決への第一歩となるからです。