29 Dec 2010

自分のコトバ

最近、自分の言葉でモノを語る人が少ない気がします。


世にありふれた言い回しや言説を用いたり、誰かの受け売りでしかないのに、それをあたかも自分の考えであるかのように語る人が多い。そしてその原因は、①自分の頭できちんと物事を考えていない、もしくは②自分の考えを自分の言葉で伝える技術がない、のどちらか(もしくは両方)であると思います。


①については、普段から当事者意識を持って自発的・能動的・積極的に物事に関わり、自分なりの思考の枠組みを作ることが必要だとと考えます。その意味で、一つの学問や分野を究めている人は強い。


②に関しては多くのメディア・書物などに接し、学ぶことにより、伝える力を鍛えることができると思います。特に、文学に多く触れている人は非常に言葉の表現が豊か。一方で、普段テレビの娯楽番組などしか見ていないような人は、やっぱり言葉が陳腐だし、話していてすぐにわかる。(勿論、娯楽は時には必要だとは思うけれども。)


他の動物と違って、人間が言葉によるコミュニケーションを主している以上、やはり自分の言葉で語ることが重要だし、自分の言葉にはきちんと責任を持ちたいと思います。


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26 Dec 2010

ジャーナリズムの新しい形?

Wikileaksによる外交文書の公開が世界的に議論を呼んでいます。



2007年、Wikileaksは国家やその他組織によって隠されている重要な情報を明らかにすることを目的とし、ジュリアン・アサンジ氏によって設立されたそう。設立の背景となったのは、アサンジ氏が故郷であるオーストラリア在住時代、政府の腐敗・政治家による情報隠蔽・圧力をかけられたメディアの存在などに危機感を抱いたためとされています。
一連の暴露劇に関し、以下2つの観点に注目したい。


1.情報源
Wikileaksが問題視されるきっかけとなったのが、バグダッドで撮影されたアメリカ軍による一般人殺害の映像。(http://collateralmurder.com/)これはブラッドリーマニング上等兵によって、約25万件の米外交公電と共にWikileaksに提供されたといわれています。彼が情報を提供した理由―それは軍による、戦争を盾にした人権侵害の事実を世間に知らしめる為ではないかと思います。即ち、政府・軍・大企業等の様な組織が何らかの不正・不道徳な行為を続けている限り、それら情報をWikileaksに提供する者はいなくならないと考えます。
現在米国を初めとする各国政府・組織はアサンジ氏やWikileaksの口座の凍結などにより活動阻止を試みているようですが、そもそもの情報源がなくならない限りWikileaksの様な活動は止めることができないでしょう。Wikileaksには現在でも毎日約1万件の文書が届くと言われています(勿論中には週刊誌に載っているゴシップのような情報も沢山含まれているだろうけれど)。この事実は、Wikileaksが信念として掲げている「組織が金をかけてまで情報を隠そうとしているというのは、その情報を世に出せば社会的利益がある」という想いを共有する市民がそれだけいることを表しているのではないでしょうか。政府はその事実を認識すべきだと思います。


2.発信者としての責任
Wikileaksは、情報の機密性から情報源の秘匿に尽力しています。その為、情報の信憑性・公開される情報の選定プロセス・その情報の前後関係などが不明であるという問題点があげられます。
言うまでもなく、大衆の信頼がなければメディアとしての存在価値は低い。だからこそ、新聞・雑誌・TVなどの媒体は取材過程や情報源を明らかにしており、間違いがあればすぐに訂正とお詫びを行っています。それに対し、Wikileaksはこれまでのメディアが当然負っていた情報を伝達する者としての責任についてはどう対処するつもりなのか、謎です。インターネットという検閲・校正のかからない媒体を用いる以上、既存のメディア以上にWikileaksには責任が求められると考えます。
アサンジ氏は米タイムズ紙のインタビューにおいて「不正な行為をしている組織を公共の監視下におく」という哲学を語っており、それにより透明性を確保した公正な社会を作る、という目標自体は素晴らしいものだと思います。特に、今後は中国やロシアなど閉鎖的な国の機密文書も公開したいと語っており、それらについても注目していきたいです。
一方で、彼らの活動が今後国際関係や安全保障などに与える影響は大きくなると考えられる為、新たな形のジャーナリズムを体現する者としての責任を明確にしてほしいと思います。さもなければ、単に国際社会を混乱させるだけの暴露団体に落ちぶれてしまうのでは。


ちなみに、Wikileaksが事前に情報を提供していたのは英ガーディアン紙、米ニューヨークタイムズ紙、独シュピーゲル紙、西エル・パイス紙、仏ル・モンド紙であり、日本のメディアは含まれていないそうです。Wikileaks関連報道が日本ではかなり少ないことからも、日本がいかに世界の情報から隔絶されているかが窺えます・・・(その間日本では市川海老蔵さんに関する報道ばかりであった(-_-)。。

19 Dec 2010

商社の仕事

この時期になるとだんだんとOB/OG訪問に来る学生が増えてきます。自分も11月くらいから就職活動を始めたけれど、ほぼずっと外資系企業を回ってたから、正直入るまで商社が何やってるのかよく分からなかった…。そして今でも他の部署がどんなビジネススキームでどんなことやってるかなんて全然分からない。。。部署が違うだけで違う会社かってくらいやってることが違う。それは面白い点でもあるけど、同時に社員の視点が内向きになるという欠点もあると思います。即ち、キャリアチェンジを考えるときに転職ではなく、同じ会社の他部署に移るという保守的な行動につながりがちになってしまいます。

さて、商社のビジネスを理解する上で参考になる本を以下紹介。

1.
トップ・レフト ウォール街の鷲を撃て (角川文庫)トップ・レフト ウォール街の鷲を撃て (角川文庫)
(2005/07/23)
黒木 亮

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銀行や商社などでプロジェクトファイナンス業務に長年携わった著者による、外銀・邦銀の攻防を描いた一冊。金融業界が舞台だが、商社マンもちゃっかり活躍している。実話かと思うくらい迫力があって、エンターテイメントとしても非常に質が高い。

2.
アジアの隼 (上) 祥伝社文庫アジアの隼 (上) 祥伝社文庫
(2004/10)
黒木 亮

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同著者が、ベトナムでの巨大プロジェクト入札を題材にした一冊。主人公は銀行マンだけれど、商社のプラントビジネスを理解するには最適。現地での人間模様や、国際競争入札の難しさなど細かい描写が本当にリアリティ溢れています。

3.
アフリカに賭ける―ある商社マンの痛快人生アフリカに賭ける―ある商社マンの痛快人生
(2010/05)
布施 克彦

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こちらは実話。三菱商事にて一貫してアフリカを担当し続けたある商社マンの人生について、事実に基づき彼の後輩が綴ったもの。例え周囲の反対を受けても、自分の仕事に誇りと信念を持って突き進んでいく男の姿は本当にカッコイイ。


それにしても、いつか商社でバリバリ働く女性の本が出たらいいなーと思うけれど・・・

18 Dec 2010

「君たちはどう生きるか」

書は、日本にて軍国主義が高まりつつある1937年、自由な精神・思想、豊かな文化などの重要性を諭した書として吉野源三郎氏によって刊行されました。
15歳の「コペル君」を主人公とした物語形式の平易な文章は、もともとは少年少女向けに書かれたものですが、大人が読んでも非常に考えさせられる部分は多いです。

タイトルからわかるように、本書はいかに生きるべきかという倫理・道徳的な内容も含まれていますが、それ以上に社会科学的認識―つまり自分が社会での問題・事象をどう認識するか、の重要性が描かれています。
特に共感を覚えたのが「貧しき友」における「恵まれた立場にいる人が、どんなことをしなければならないか、どういう心掛けで生きてゆくのが本当か」という下り。
これはまさに自分が常日頃問題意識として抱えている、先進国に生きる者としての義務に通ずるものがあると思います。

すなわち、自分が今豊かで幸せな生活を送れるのは自分の努力によってではなく(少しは努力の結果もあるかもしれないけれど)、たまたま先進国の一般家庭に生まれたからである、という考え。従い、たまたま別の環境に生まれ何らかの苦難に苛まれている人々に対し、先進国に生きる者として何らかのアクションを起こすことは当然の義務だと考えます。

また、本書で有名なのはコペル君が粉ミルクを出発点として生産関係を発見する「人間分子の関係、網目の法則」の部分。日常的な事象をもとに徐々に視点を広げていき、世界的な人間の繋がりや生産―消費関係にまで話を展開する下りは非常に鮮やかかつ明快です。
さらに、消費ばかりしていて何も生産していない自分が何を生み出しているのだろう?という問いかけは、ある意味でとても核心をついていると思います。自分にとってもこれは常に問いかけ続けなければならないと感じました。

11 Dec 2010

「文明崩壊」

前著「銃・病原菌・鉄」において、環境的要因によって文明発展の速度や度合が異なることを導き出した著者が、本作では一度繁栄した文明がどのように崩壊・滅亡していくのかを描いています。

たとえば、モアイ像で有名なイースター島は資源の過剰開発によって自ら滅びました。マヤ文明は森林破壊、資源をめぐる争い、人口過剰などといった問題に対して適切な解決策をとることができずに崩壊しました。

過去の失敗に関して、「なぜきちんと対応しなかったのか」と問うことは簡単。しかし、我々も環境問題、人口問題、資源問題といった難問に対処できなければ、彼らと同じような運命をたどる可能性があるとのこと。
むしろ、個別に文明が存在していた時代よりも、グローバル化の浸透が問題を複雑化させているため、「地球規模での解決策」という更なる難題が我々には突き付けられていると言えまsy。

しかし、著者は悲観的ではなく、過去の教訓から現実的・建設的な処方箋を導き出します。
たとえば、江戸時代の日本では乱伐によって深刻化した森林破壊を徳川幕府の育林政策によって再生し、持続可能な森林管理を行っていました。それによって、日本は他の文明のような崩壊の危機を乗り越えることができたとのこと。

現在の問題を乗り越えることは途方もない作業に思えるかもしれない。しかし、地球に生きる市民として、一人一人が意識を高める必要があると思います。なぜなら、それが問題解決への第一歩となるからです。

8 Dec 2010

「読書について」

ョウペン・ハウエル「読書について」。

この本の主旨は下記の文章に集約されていると思う。
「読書とは他人にものを考えてもらうことである。1日を多読に費やす勤勉な人間はしだいに自分でものを考える力を失ってゆく。」

うーん、これまで新刊・古典問わず興味の赴くままに多読を重ねていた自分の読書習慣を反省。特に、書店で平積みされているような話題の新書については内容が薄いものも多いので、今後は量ではなく質を重視した読書を心がけようと思う。
尚、ハウエルによれば出版図書の9割が無用の悪書で、それらは書くべき事柄が先にあったのではなく「書くために書かれたもの」である。即ち、金銭が目的の執筆活動であると。

確かに、現在どんなに流行りの本でも今後次世代まで引き継がれていくものはほんの数パーセントにすぎない。人生の時間が限られている以上、いかに良質なものに触れられるかが精神の豊かさを決めると思う。(これは書物に限らず)そう考えると、やはり古典に触れることは非常に意義があるのだろう。

薄いながらも、エッセンスの詰まった良書でした。



読書について 他二篇 (岩波文庫)読書について 他二篇 (岩波文庫)
(1983/07)
ショウペンハウエル

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4 Dec 2010

「ハーツ・アンド・マインズ」

先週末、東京写真美術館にて「ハーツ・アンド・マインズ‐ベトナム戦争の真実」を鑑賞してきました。


本作品は1974年アメリカにて公開され、翌年のアカデミー賞にて最優秀長編ドキュメンタリー映画賞を獲得しています。そして、その後制作された「地獄の黙示録」「プラトーン」等のベトナム戦争関連映画にも大きな影響を与えた、と言われているそう。(映画HP http://www.eigademiru.com/hm/)


内容としては、一般市民から政治家、帰還兵、大統領等、戦争に関わったあらゆる人々の証言を集め、実際の戦地での悲惨な映像とともにベトナム戦争の真実を浮き彫りにするもの。公開当時はやはり米国内で物議を醸したものの、ドキュメンタリーとしての質の高さに加え、過去人間が犯した愚かな過ちを記憶しておくという意味においても、非常に意義の高い作品でした。


1番印象に残った場面は、帰還兵が戦時中の行為を回想し、一通り話した後に言葉に詰まるシーン。沈黙にこそ彼の想いがすべて詰まっている気がしました。人は本当に想いが込み上げてきた時、沈黙せざるを得ないと思います。


ベトナム戦争ほど大規模なものではないにせよ、現在でも戦火を交えた争いが続いています。では、自分に何ができるのだろうか?何もできないかもしれない。
けれども、少なくとも過去の出来事を理解し、反省し、考え、伝えていく義務はあると思う。そんなことを考えされられた作品でした。

1 Dec 2010

Introduction

<自己紹介>
生まれはNew Jersey、育ちは東京、現在は総合商社にて途上国向けインフラ事業に携わっています。


<興味・関心>
・途上国開発
学生時代に訪れたカンボジアにて、湖上で観光客に物を乞う女の子に出会い、世界の格差に衝撃を受けました。それ以来、インドやケニアなど数か国でボランティアに参加し、途上国の発展に貢献することが自分の使命だと感じるようになりました。自分の信念として出身・人種・性別等の違いに関わらず、全ての人と「人間として」対等に接したいとの想いがあるため、CharityではなくBusinessの世界に身を置いています。


・国際政治/経済
海外事情には広く関心を持っており、このブログでも適宜私見を述べていきたいと考えています。尚、学生時代はアメリカ(主にブッシュ政権)の対北朝鮮外交についてペーパーを書きました。


・読書
政治・経済・歴史・哲学等幅広いジャンルの本を読みますが、無用な多読・乱読を避け、良質な読書を心がけています。影響を受けた本は、ジャレッド・ダイヤモンド「銃・病原菌・鉄」及びジェフリー・サックス「貧困の終焉」です。小説なら村上春樹「ノルウェイの森」が好みです。


・映画
かつてジェリー・ブラッカイマーのような映画プロデューサーになりたいと思っていたほど、映画好きです。好きな監督はリュック・ベッソン、スタンリー・キューブリック、キム・ギドクです。これまで一番リピートして観た映画は「レオン」です。セリフも覚えてます。


・音楽
Music Freakです。Hip-hop、R&B等を中心に、四六時中音楽を聴いてます。アーティスト兼パフォーマーとしてはやはりUsherやBeyonceが秀逸していると思います。


・ダンス
10年以上、ストリートダンスを続けてます。メインジャンルはHip-hopとHouseですが、大体のジャンルはすべて挑戦しました。自分を一番うまく表現できるのはやはりダンスを通じてだと感じてます。